多聞院寅まつり

12年に1度、 寅年に行われる多門院寅まつり。
本来は昨年行われる予定だったが、コロナ禍であったため今年に延期された。従って、今年の寅まつりは13年ぶりの開催になる。
◆多門院毘沙門堂
三富開拓農民の祈願所とするため、柳沢吉保の命により元禄9年 (1696年)に毘沙門社として創建された真言宗豊山派の寺院である。山号は宝塔山。寺号は吉祥寺。本尊に大日如来を安置している。
毘沙門堂の本尊は、像高一寸四分(約四センチ)の金の毘沙門天で、武田信玄の守り本尊であったと伝えられている。信玄は、これを兜の中に納めて戦場に出ていたので、その加護により川中島の戦いで上杉謙信の刀から危うく逃れたと伝えられている。
武田家滅亡後、武田家遺臣の血を引く柳沢吉保が入手し、毘沙門堂の本尊として祀った。

◆大般若経転読法会(午前11時から40~50分間)
玄奘三蔵 が17年がかりでインドから経典を持ち帰り、翻訳された大般若経600巻の転読法会。大般若転読法会では、本尊「十六善神」の掛け軸を掲げて無病息災の護摩が焚かれる。
この日は近隣の真言宗豊山派の寺から僧侶が手伝いに来るそうだ。

今年の法会は山伏装束の僧侶や法螺貝の音に先導されることもなく、多くの僧侶が粛々と毘沙門堂に入った。

◆狛寅

◆身がわり寅
大きさが7cmほどの可愛い寅。
毘沙門堂には、毘沙門天の化身であるこの寅に災いを託して納める習慣がある。

◆鬼の寒念仏像
寒念仏は、寒中30日間寒い夜に諸所を巡りながら鉦を叩き念仏を唱える行で、元来、僧侶の一つの修行である。
この像は、左手に「奉加帳」をもち、背中に「傘」を背負っている。加護帳には夜泣きの子供の名前が記録されているそうだ。
家々をまわっては、母子の健康・安産・家内安全を祈願しているとのこと。鬼にしては優しい心の持ち主である。
そういえば、どことなく慈悲に満ちた愛嬌のある像である。




◆鬼の悟り
人間への教訓として我慢の大切さを説いている。

◆神明社
宝暦11年(1761)に建立。通称「富の神明様」と呼ばれている。
祭神は天照大御神、応神天皇、倉稲魂命、他である。
明治時代末に富岡村内の村社を合祀。

◆甘藷乃神
川越芋作りを始めて255周年を記念して、平成18年に甘藷乃神(イモノカミ)として神明社の隣にお祀りすることとなった。
狛犬の前足を乗せているのはさつま芋。芋には葉っぱと蔓がついている。
社前のさつま芋のオブジェは「なでいも」と呼ばれていて、撫でるとご利益があるそうだ。そのせいか上部がピカピカに光っている。なお、元日~2日にお参りをすると焼き芋が配られるとのこと。

◆半僧坊(ハンソウボウ)大権現の社
半僧坊とは「天狗のような顔をして、半ば僧の顔をしていた」ことからそう呼ばれたそうだ。大元は、臨済宗大本山方広寺で鎮守の神として、半僧坊大権現が祀られている。
半僧坊信仰は、半僧坊のご利益が絶大で、厄難消滅、海上安全、火災消除、良縁成就などの権現として明治以降、信者が全国に広がったという。
ちなみに、半僧坊は大男で一晩のうちに山を渡り歩くことができたとのこと。内容は別として実在した人物だそうだ。

◆境内の貴重な植物
○ハッカクレン(八角蓮)
ハッカクレンは台湾や中国の深山の林床に生える大型の植物です。
太い茎の先端に大きな角のある葉を2枚広げ、葉の下に赤褐色の抱え咲きの花を数輪咲かせていました
○姫委蕤(ひめいずい)
キジカクシ科アマドコロ属
海岸や草原で見られる10~45㎝の多年草。葉は互生する単葉で長さ5.5~8.5㎝全緑。花は白~クリーム色で長い筒状となり吊り下がっていました。
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往路は航空公園駅前から10時発、市の無料バスを利用。
復路は、多門院から11時40分発、所沢物産展「よっとこ」行に乗車。物産展内で昼食。
物産展「よっとこ」から13時発、航空公園駅前行に乗車、いずれも市の無料バスを利用。
10名参加